2011年9月4日日曜日

四方山話(垂直多角化 水平多角化)

多角化には、いろいろな分類があります。

中小企業の事業者は、多角化というと大企業の話のように思うかもしれませんが、
意外と中小企業でも、多角化をしている企業は沢山あります。
例えば、お茶を取り扱うお店が、海苔も取り扱ったり、肉屋さんが、焼き肉店を出店したりする行為も多角化です。

見る視点から、集中型多角化とか、非関連型多角化とか、色んな分類の仕方がありますが、
ボクは、よく、垂直多角化と水平多角化という言葉を使います。

一般的に、商流とかサプライチェーンとか呼ばれる、商業の流れは、
生産者→加工業者→卸業者→小売業者→一般消費者
となります。
当然ですが、商品の特性によっては、順番が入れ替わります。
このような商業の流れを、川の流れに例えて、生産者側を川上、消費者側を川下と呼びます。


【垂直多角化】
この川上から、川下へ、もしくは、川下から川上へ多角化を進めることを、垂直多角化といいます。

例えば、お茶農家が、製茶業を営むことや、さらに、お茶の小売を始めることが垂直多角化です。

垂直多角化の例としては、その他にも、肉屋さんが、焼き肉屋を始めるとか、トンカツ屋を始めるといったものや、
洋服の小売業者が、服の製造業(縫製業)を始めるといったことなど、いろいろな例があります。

いずれにしろ、この垂直多角化というのは、商業の流れすべてを一つの企業で支配することになるので、それぞれの分野で利益を取ることができます。
例えば、お茶農家で利益を得、その材料を使って、製茶をして利益を得、さらに、お茶の小売で販売して利益を得る。
上手くいけは、お茶という一枚の葉っぱで、3度の利益が得られます。
このように、垂直多角化のパターンは、一回のモノが流れると儲けが多くなります。付加価値が高い経営体ですよね。

ただし、この垂直多角化には欠点もあります。
例えば、その年は天候が悪くて、お茶が取れなかった。としたら‥‥
その年は、お茶農家も製茶業も、小売業もすべての売り上げが下がります。
このように、リスクが集中し、失敗したときや、災害時の不利益も多くなります
ハイリスク・ハイリターンといわれているものです。

この考え方と大きく異なる多角化に、水平多角化という考え方があります。

【水平多角化】
水平多角化は、肉屋さんが、鮮魚を販売するとか、野菜を販売する。といったものや、お茶を販売している小売店が、海苔を販売するということが、典型的な例になります。
商流と並行する多角化だから、水平多角化と呼ばれます。

この肉屋が鮮魚とか、野菜とかを販売することで、お客様が毎日当社に訪れるようになり、売上が平準化されます。スーパーの考え方ですよね。

また、お茶の繁忙期は初夏から秋にかけてですが、海苔の繁忙期は、冬から春にかけてになります。どちらも季節変動が反対の動きを示し、かつ、同じ設備を活用できますので、一年中仕事が安定します。

このように、水平多角化を行うことは、年間を通じて安定した売り上げを確保することができるのです。

しかし、これもいい点ばかりではありません。
一つの商品で1回しか利益が得られないので、垂直多角化に比べて、利益率が低いという欠点もあります。付加価値が低い経営体ですね。

ローリスク・ローリターンといわれるものです。

【まとめ】
水平多角化と垂直多角化は、どちらがいいというのではなく、
組み合わせて使うことが、大切です。
安定性を重視するのであれば、水平多角化を、収益性を重視するのであれば、垂直多角化をと考えるとよいのではないでしょうか。

意外と、どちらかに偏っている場合が多いので、一度じっくりと自社の経営を見直してみると、新たなひらめきが出てくるかもしれません。










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