2011年3月9日水曜日

サンマのみりん干し(大喜や:茨城県ひたちなか市)

こんにちは、自称 郷土料理研究家(?)の初鹿野浩明です。

今回ご紹介するのは、
「大喜や(おおぎや)」さんというお店の サンマのみりん干し です。


大喜やさんは、
魚屋さんというよりも、
干物屋さんです。

手作り・天日干しの干物屋さんです。


ジャジャ~ン
これ!



護摩壇のみりん干し(中身)


護摩壇のみりん干し(外観パッケージ)

醤油と砂糖(ザラメ)を煮詰めた漬け液に、
開いたサンマを浸け込み、
干したものです。
正式には、「護摩壇のみりん干し(ごまだんのみりんぼし)
という商品名です。

大喜や さんの その他の干物は、こちら
http://hatsukano-hiroaki.blogspot.jp/2012/03/blog-post_17.html

他店ですが、サンマの甘露煮というのが有名なのは、こちら
http://hatsukano-hiroaki.blogspot.jp/2012/06/blog-post_08.html

こんな場所で売っています。





大喜やさんの場所は、ひたちなか市、といっても、
チョー海岸に近いところに立っています。


ここの地名を平磯といいますが、平らな磯が数キロに続いていることから、このような地名が付いたと言われています。

商品名「護摩壇のみりん干し」の護摩壇というのは、
大喜や(おおぎや)さんの目の前にある、磯の名前を
「護摩壇磯(ごまだんいそ)」と呼んでいるところから付けられたのかと
ボクが、勝手に想像しています。

護摩壇磯の由来は、
昔、弘法大師空海が平磯町を訪れた時に、
この磯の上で護摩壇を焚いた
という言い伝えのある磯です。



大喜やさんの目の前の磯(海岸の岩場) 
左手が護摩壇磯と呼ばれています



また、この地は、サンマの水揚げがある那珂湊漁港の近くです。
那珂湊漁港は、コミック「美味しんぼ」の第1巻に出てくる「あんこうの捕れる漁港」ですね。
今回のブログには載せませんが、今日は、アンキモも売っていたので、
ついで買いをしてしまいました(脱線)。


ここ、那珂湊漁港は、過去においてサンマが大量に水揚げされた町でした。
そんなこともあり、
この地に古くから住む人は、サンマのことを「ネコマタ((猫もまたいで歩くほど、ありきたりのものという意味です)」とも言います。


また、「サンマなんてお金をだして買ったことがなかった」
とか、「サンマは、道路に落ちてるものだった」
とか、まことしやかに伝わっています。

ある生産物が大量にとれた場所にはですね。。。
隠れた、郷土料理とか、地元に根づいた食べ方があるんですよ。
土産土法(どさんどほう)っていいます。
↓↓↓土産土法の説明はコチラ↓↓↓
四方山話(土産土法:どさんどほう)

このみりん干しもここの郷土料理のひとつですね。。。
 ちょっとだけウンチクを、、、、
茨城県では、「サンマのみりん干し」と、「サンマの干物」は裂き方(開き方)が違います。
みりん干しは、腹開きと言って、腹の方に包丁を入れます。
サンマの干物は、背開きと言い、背中から包丁入れます。
理由は不明です。
また、干物のときは、サンマの頭を付けますが、みりん干しのときは、頭を取ります。なぜなんでしょうかね。。。。



ここで、大喜や社長さんのこだわりを、聞いてきましたのでご紹介します。


その1
着色料や保存料などは一切使わないそうです。そのため、冷凍で売っていますが、解凍してから、冷蔵庫で保存し、6日以内に食べてくださいとのことです。


実際に焼いてみるとわかるのですが。。。。。
一般のみりん干しは、焼いてしばらくして冷めると、固くなります。
ここのみりん干しは、固くなりません。
これは、一般的に照りを出すために水飴を使うのですが、
大喜やさんは、水飴を使わないで製造しているからなのです。


そのため、他社の商品をくらべて並べると、色があせて見えます。これが欠点かもしれません。
しかし、大喜やさんのみりん干しが本物だと思います。


その2
サンマは、道東沖(北海道の東方沖)でとれた物を使っているそうです。


よくみると、大喜やさんのみりん干しは、他社のみりん干しよりも、一回り大きいのです。
サンマが一番大きく、脂がのるのが、道東沖のサンマなんですって。


たしかに、食べ比べると、他社のみりん干しに比べて、
脂がのっていて美味いです。


その3
天日干しは絶対に譲れないそうです。
なので、大量生産ができない、やらないそうです。


この日も、サンマ以外にもキスなんかも天日で干していました。
そちらもウマそうです。

生産量を犠牲にしても、天日干しにこだわっているのです
その他にも、
毎年少しづつ、改善を続けているそうです。
大切な考え方ですよね。見習わなければ。。。。。


一般的に、同じものを、毎年同じように作り続けると、
お客様は、その味に慣れてきて、味が落ちたと錯覚します。


お客様から、味が落ちたと言われないようにするには、
見た目は同じでも、
より美味しいモノへと日々向上することが大切です。
なかなかできないことですよね。


今回購入して、久々に大喜やさんのみりん干しを食しました。
うん。。ウマい。。。。


みりん干しの焼きあがった状態 このくらいの焼き上がりがベスト


みりん干しは、短時間で焼けます。
焼き過ぎに注意です。
ボクは、ちょっと強めに火を通すのが好みです。
焦げる寸前で火を止める。というところでしょうか。

干物がふっくらと焼き上がるのは、天日干しの特徴ですね。
大喜やさんの干物は、どれもふっくらと焼きあがります。

「焼き鳥はタレ派」のボクには、
甘辛い醤油と砂糖の焦げた香りが
タマリマセン!!!


よく、観察すると、たしかに、以前と違います。
ここ大喜やさんの昔のみりん干しは
サンマの尻尾のところに、
2cm位の中骨(背骨)を残していたのですが、
今回購入したみりん干しには、
中骨がキレイに外されていました。

いわしのみりん干しかと一瞬おもいました。
(以前は、いわしのみりん干しは、中骨を外して、サンマのみりん干しは、中骨を少しのこしていたということをしていました。理由は不明です)。

最近の傾向なんでしょうかねえ~。。。。
骨をつけると、クレームになるのでしょうか。。。。
ありそうです。

お味の方も、以前と比べると、少し違うようですね。
イマドキの味になっています。
なるほど。。。これもアリですよね。
ボクは、濃いめの味付けが好きなので、
昔の味が少しだけ、懐かしく思いました。

今回改めて「みりん干し」について考えてみましたが、
なぜ、腹開きなんだろうとか、
なぜ、頭を取るんだろうとか、
なぜ、(昔は)中骨があったんだろう
といった、課題が残りました。

大喜やさんへ、また聴きに行かなきゃ。。。。。

2 件のコメント:

  1. 大喜やさんのみりん干しの大フアンです^^
    あの震災でとっても心配しております。
    大喜やさんも津波にのまれてしまったのでしょうか?
    教えてください。

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  2. >もぐらさん
    ご返事が遅くなりました。
    津波はギリギリのところでセーフでした。

    大喜やさんは、無事営業を再開してます。

    先日買出しに行ってきました。

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